家出人や捜索願は、行方不明者、行方不明者届に

 




■家出人や捜索願は、行方不明者、行方不明者届に

これまで、ある人が失踪した時、その人を「家出人」と呼び、
その捜索については「家出人捜索願」を提出するのが一般的でした。

しかし、平成22年4月「行方不明者発見活動に関する規則」が実施され、
それに伴って、家出人を「行方不明者」、捜索願を「行方不明者届」と呼称するよう改められました。

捜索願の届出をするにあたっては、行方不明者届を提出し、
また届出人の身分証明書、行方不明者の写真を用意する必要があります。

この変更が行われた背景には、それまでの基準であった「家出人発見活動要綱」が制定された、
昭和54年当時と比べ、社会情勢が大きく変化した事があります。

行方不明者そのものの増加に加えて、核家族や単身者が大幅に増えた事により、
基本的に血縁関係者のみが届出人となれる従来の制度では、対処が難しくなりました。

その為に、親権者や配偶者だけでなく、恋人や雇主など、
失踪人の関係者も届出人となれるように、新たに規則が定められたのです。

■行方不明届とは

行方不明届を出す事ができるのは、まず親権を持つ保護者や配偶者及び後見人など、
いわゆる行方不明人の親族です。

これに加えて、行方不明者の福祉に関する事務に従事する人間や同居者、
雇主など、当人と社会生活において関係の深い人にも、届出人となる事が許可されています。

届出先としては、行方不明者の住所や、行方不明になったと思われる場所を管轄する警察署へ提出する事になります。

ただ、届出人の住所から遠く離れた場所であった場合、届出人の居住地から最寄りの警察署へも届出可能です。
届出にあたっては、行方不明者届出の書類と届出者の身分証明書、そして行方不明者の写真を用意します。

届出があった場合、警察署長は、届出人から行方不明者の特徴やいなくなった状況など、
詳しい事情を聴取する事になりますので、これらの情報もあらかじめ用意しておく必要があります。

届出を受理すると、警察署長は「受理票」を作成しなければならず、これらは全て上記規則で定められています。

これらの過程を経て、失踪者の捜索がされますが、多くの場合、行われるのは「一般的な発見活動」というものになります。
簡単に言えば、警察官が通常の業務中に、行方不明者が見つかるよう注意をする、という事です。
具体的には警察官の業務中、失踪人らしき人物がいないか注意を払う事や必要と判断した場合には、
掲示板やインターネットを通じて、行方不明者の情報を公開する事などが挙げられます。

これらは通常の職務の延長という意味合いが強く、その人の専門として捜査員が付いてくれる訳ではない為、
発見率が低いという意見もあります。

■特異行方不明者とは?

特異行方不明者とは、一言で言えば「命に関わる危険に晒されている行方不明者」を指します。

例えば、殺人や誘拐などに巻き込まれている場合や交通事故などの、
命に関わる事故に遭遇していると見られる時、更には、自殺している可能性がある場合などが該当します。

また、精神に障害を持っている人や、病人及び高齢者といった、
自分の命を守る最低限の能力を確保できていないと見なされる時も、同様に扱われます。

上記の「一般的な発見活動」と異なり、警察は積極的な捜査を義務付けられますが、
それだけに、はっきりとした証拠がなければ、なかなか認定されないのが現状です。

例えば、誘拐ならば脅迫状が届いている、自殺の可能性ならば遺書が残されているといった、
命の危険について、強い根拠がある場合に、特異行方不明者と認められるのです。

■まとめ:行方不明者が近くにいるなら、まずは行動を

大切な人が家出、あるいは失踪してしまった時、多くの方は驚きや悲しみで、
どうしたら良いかわからなくなってしまう事も多いと思われます。
このような時は、まず行方不明届を作成し、警察署へ届出をしましょう。

残念ながら、この届出を出したとしても、ほとんどの場合は、警察官の通常業務の中での捜索となります。

現在、失踪者の人数は、行方不明事件を扱う警官の人数を遥かに上回っており、
すぐに発見される確率は高いとは言えません。

しかし、失踪した方の安全を第一に考えた場合、やはり行方不明届は必ず出しておくべきと言えます。

警察の人員と組織力は、個人とは比べ物になりませんし、万が一、どこかで身元不明者として保護された場合、
提供している情報に当てはまれば、発見の連絡を貰う事ができます。

費用も当然かかりませんし、届出を全くしないよりは、少しでも見つかる可能性を上げられるよう、行動した方が良いはずです。

また、届出以外にも、失踪期間が長引けば、その人が残した財産の管理についても、考えなければなりません。
失踪者の財産管理については、「不在者財産管理人」という制度があり、
家庭裁判所による審査の上で、不在者が所有する財産の管理人となり、様々な手続きをする事ができます。

このように、捜索だけでなく、失踪した人が帰ってきた時の場所を守る為の活動にも、最初のアクションが大きく左右します。
精神的なショックもあり、すぐに動くという事は難しいかもしれませんが、家族や友人の力を借りるなどして、一つずつ行動に移していく事が大切です。